新刊『つながりのことば学』NHK出版、刊行です。
新刊のお知らせ。
『つながりのことば学』齋藤陽道
NHK出版「学びのきほん」シリーズ
発売日:2025年7月26日
定価:825円(税込)
判型:A5判
ページ数:128ページ
判型:A5判
・自宅のそばの本屋さんでも!
こんにちは。齋藤陽道です。
このたび、新刊が刊行されます。タイトルは『つながりのことば学』。
言葉がうまく出ないことってありますね。ぼくにとって、言葉はひどく難儀なものです。
ようやく言葉になって出てきたと思ったら、ほんとうに言いたいことからずれてしまうこともある。いや、その連続で生きてきたと思っています。
そうしたまとまらない言葉が、手話と出会って、写真と出会って、ようやく「言葉は、言葉だけで生まれるものではない。言葉の母体は『ことば』だった」と知りました。
この本には、そんなぼくの経験と考えがつまっています。
でも、なにか一角の人物として物事を教えたいわけではありません。そんな大層なことはぼくにはとても「言葉」に悩み、立ち止まり、どこから言葉がやってくるのかわからなくなった、「言葉の迷子」になっている人にとって、なにかの手助けとなればという気持ちで書きました。
「普段、ぼくたちは『言葉』を何気なく使っています。(略)社会は『言葉』でできていると言っても過言ではありません。そのため、誰もが『言葉』を使えて当たり前だと思っています。
しかし、樹木がないところからは葉が生まれないように、『言葉』は『言葉』だけで生まれてくるものではありません。『ことば』で満ちた母体があればこそ、数々の『言葉』が生まれてくるのです。
目の前で現れている動きや現象は、『言葉』の母体となる『ことば』として存在しています。このことを改めて意識することは『言葉』に偏重する今、とても大切だと考えます。」
『つながりことば学』引用
うまく話すよりも、大事なことがある。
NHKの長寿番組「おかあさんといっしょ」のエンディング曲「きんらきら ぽん」の作詞を担当、手話を言葉として生きる写真家・齋藤陽道さん。手話を禁じられ、心から言葉が離れていった幼少期。手話に出会い、初めて会話の楽しさを知った高校時代。
心の底から他者とつながるために写真を撮り続けた日々。「つながり方」を発見していった過程は、他者との関係性に悩む人を後押ししてくれる。
言葉が伝わらないことを身にしみて知っているからこそ見出した、「言葉の共有地」「言葉の解像度」「消感動と宿感動」「存在を聴く」などの視点から、安易なノウハウではない、コミュニケーションの「そもそも」論を学ぶ。
目次
はじめに 言葉とことば
1 ことばの共有地
2 心から離れた言葉
3 手話との出会い
4 「見る」と「見えている」
5 まなざしで伝わったもの
6 あなたと私の「共通言語」
7 相手の存在を聴く
8 ことばは深化する
9 言葉の解像度
10 息づく言葉
11 当たり前を見つめ直す
12 一人ひとりが持つ「カタリナ語」
13 「消感動」と「宿感動」
おわりに そして、はじまりに。
齋藤陽道(さいとう・はるみち)
1983年、東京都生まれ。写真家。都立石神井ろう学校卒業。2020年から熊本県在住。2010年、写真新世紀優秀賞受賞。2013年、ワタリウム美術館にて新鋭写真家として異例の大型個展を開催。2014年、日本写真協会新人賞受賞。写真集に『感動』、続編の『感動、』(赤々舎)で木村伊兵衛写真賞最終候補。
著書に『異なり記念日』(医学書院)、『声めぐり』(晶文社)、『よっちぼっち 家族四人の四つの人生』(暮しの手帖社)など。2022年に『育児まんが日記 せかいはことば』(ナナロク社)を刊行、NHKEテレ「しゅわわん!」としてアニメ化。
同年、NHKEテレ「おかあさんといっしょ」のエンディング曲『きんらきら ぽん』の作詞を担当。写真家、文筆家としてだけでなく、活動の幅を広げている。
さいごに
「あなたのすべてを育んだ『ことば』の手応えを感じながら、つむいだ『言葉』はきっと、他者の心になにかを残す『うた』となるでしょう。
『うた』は『歌』であり『詩』です。そして、そうせずにはいられないという胸を衝いて湧き上がってくる『祈り』です。」
『つながりのことば学』引用
言葉って便利で手軽で楽チンで、実にめんどくさいですね。
それがどこから生まれてくるものなのか、その源である「ことば」についていちど思いを巡らせる機会となればいいなと思います。ほいじゃ、また!
齋藤陽道
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